自作曲「大空春風(略)」

大和物語へのオマージュ「大空をわたる春風あびながら」

 大和物語048段の和歌に、

大空を
  わたる春日の 影なれや
    よそにのみして のどけかるらむ

とあって、「大空を渡る春日の影なのだろうか、ただ余所にあってのどかそうだなあ」というだけの、日常的な会話口調くらいの和歌が、どれほど現代語の語り口調と変わらないものであるか。

 そうして、そのくらいのことを述べるのが、詩としての和歌のメインストリートであることを紹介しようと思って、おなじくらいの語りのレベルで二つほど、本歌取りしてみました。

 それをさらに、歌詞に成長させてみたものの……

 現在、二番まで作ろうか、それともいさぎよく、これだけにした方がよいのか考え中。とりあえず、ショートバージョンを掲載してみます。

「大空をわたる春風あびながら」

   作詞作曲 時乃志憐

喧騒になじめなくて ふるさとに戻った
  君の笑顔が 忘れられなくて

伝えたい思いばかり もどかしくあふれて
  新しい靴にはきかえて さあ出かけよう

新しい風を浴びては
  いくつもの街を駆け抜け
    なつかしく手をふる君は
  あの頃となにも変わらないね

  大空を
    わたる春風 あびながら
   そ知らぬふりして 君とおしゃべり

  大空を
    わたる春風 あびながら
   そ知らぬふりして 君にくちづけ

おまけ

 元になった「大和物語48段」