かつお節の種類と製法おぼえ書

荒節まで

水揚げ

 スズキ目・サバ科の外洋性回遊魚であるカツオは、太平洋側の黒潮にそって春に北上して、秋に南下する、日本人にとって、古くから食べまくってきた魚である。これを水揚げ後、すぐに冷凍したものを、再解凍して、かつお節にする行程を、きわめて適当に覚書しておこうというだけのもの。

生切り

 解凍したカツオを解体して、頭や内臓、皮を取り除き、三枚におろして、背骨を取り除く。比較的小さいものは、三枚おろししただけの状態で、左身と右身をそのまま鰹節に仕上げていく。これを「亀節(かめぶし)」という。ある程度の大きさのものは、三枚おろししたものを、さらに背側と腹側に切り分け(つまり五枚おろしにして)、「右身と左身の背側と腹側」に四分割したものを、鰹節に仕上げていく。これがもっとも一般に流通している「本節(ほんぶし)」と呼ばれるものである。成長に対する味覚の違いは不明だが、家庭料理くらいでは「味に違いはない」と表現してしまってよいらしい。

一例として、ある漁港のもの、
    1.8kg以下  ⇒ 亀節
    1.8~2.5kg ⇒ 亀又は本節
    2.5~4.5kg ⇒ 本節
といった情報がネットに掲載されていた。

煮熟(しゃじゅく)

 沸騰直前くらいのお湯で、二時間くらい煮る。

骨抜き

 その後、残された骨と皮を丁寧に取り除く作業が待っている。これを、節に整えたものを、天日干しただけ、あるいは次の「焙乾 (ばいかん)」の初期で取り出したものを「なまり節」という。まだしっかりとしたお魚の味わいを楽しめる。

焙乾 (ばいかん)

 節を燻製(くんせい)にする。詳細は省くが、燻(いぶ)しては冷ます行程をくり返しつつ、水分を抜いていくと、うまみ成分であるイノシン酸が生成され、独特の香りが生まれてくる。

 比較的、燻しの行程が短いもの、まだ油分が多くて柔らかいものを「さつま節」とよんで、「荒節」と区別する場合がある。

荒節の完成

 十分に焙乾を行って、水分量が20%強くらいになったものが、「荒節(あらぶし)」である。燻したときの薫香が残り、また魚味のかすかに残るようなダシが取れると説明されたりするが、もっと簡単な話、スーパーにおいてあるパックのかつお節、いわゆる「花鰹」などと呼ばれるものは、大部分がこの荒節を削ったものものである。

 これは「かつお削り節」と表記される。一方、本枯れ節を削ったものは、表記上「かつお節 削り節」となっているので、注意して眺めてみよう。

 細かくは、タールが付着して真っ黒に見える状態が荒節で、その表面を削って、かつお節を作れる状態にあるものを、裸節と呼んだりするようだ。ここまで20日から一ヶ月くらいの行程。

枯れ節(かれぶし)

 かつお節の水分をさらに抜き、うまみ成分を高めるには、カビの力が利用される。「かつお節菌」と呼ばれるもので、コウジカビ属(Aspergillus・アスペルギルス)の一種。節の水分を抜き(水分量15%くらい)、脂肪を分解し、アミノ酸を生み出し、臭みを抜くといった効果があり、この菌のおかげで、油分のない、香り高い、うまみのあるだしが取れるようになる。

かび付け

 かつお節菌を付着、繁殖させる行程。節にカビを付けては、日干しするという行程を繰り返す。この行程を行ったものを「枯れ節」と言い、特に三度以上、あるいは四度以上「かび付けと天日干し」を繰り返したものが「本枯れ節(ほんかれぶし)」と呼ばれる。これによって次第に茶褐色になり、「本枯れ節」になるまでには、半年くらいかかるが、それをさらに寝かせると熟成されたかつお節になる。二年ものがおいしいという噂もある。

[かつお節菌]
・コウジカビ属(Aspergillus・アスペルギルス)の一種で、節の水分を抜き、脂肪を分解し、アミノ酸を生み出し、臭みを抜くといった効果がある。これによって、上品でまろやかな、かおり高い、うまみの濃厚なダシが取れるようになる。