かつお節の削り方

かつお節の削り方

鰹節削り器

 木材を削るための鉋(かんな)と同じものが、かつお節を削るために、鉋台に乗せられている。下には削られたかつお節を受けて、取り出すためのケースがあり、引き出し付きの木箱になっているものが基本形。

鉋の刃が付いている方が上で、上部・台頭(だいとう)と呼ばれる。一方、かつお節を削るための広い面積のある方が下で、下部・台尻(だいじり)と呼ばれる。刃は、下部に向けられているので、削るときは、下部を自分側に向けると、刃も自分側に向く。それでかつお節は押して削るのが基本。(小さくなったものは、逆にして削るやり方もある。)

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 これは、受けがプラスチックになっていて、洗いやすいのと、お手頃価格なので、はじめて購入してみたもの。

刃の調整

 刃は、0.1mm~0.2mmくらい出るようにする。新聞紙一枚くらい出ていると表現されることもある。刃が出過ぎると固くて削りづらく、かつお節が粉になりやすい。また刃の全体が均質に出ていないと、削られたかつお節が、きれいなかたちにならない。

 刃は、金槌ではなく木槌で調節する。
   上部(台頭)を叩くと引っ込む
        ⇒叩き続けると外れる
   下部(台尻)を叩くと刃が出る
つまり、刃の向きに木槌を打つと引っ込み、刃と反対の向きに木槌を打つと刃が出てしまう。左右の出方を調整したいときは、上部・下部の右側、左側に木槌を当てるか、鉋の左右の側面を木槌で叩く。

 刃の調整は、引っ込めた状態から、少しずつ出していくのがコツ。冬は乾燥して固くなるので、引っ込めるなどの話もあり、ようするに固くて削りづらかったら、とりあえず引っ込めてみる。心臓部の刃が欠けていたり、さびてしまったら、もうきれいなかつお節は削れないので、研ぎに出すなり、新しいものを購入した方がよい。自分で研ぐのは、よほど慣れていないと、包丁より難しい。

頭と尾について

 「本枯れ節」を購入して、それを削ることが基本となるか。「本枯れ節」には、
   「背節(雄節)」と「腹節(雌節)」
があり、料亭などでは味わいを区別して使用するようだが、わたしの範疇ではない。大切なのは頭側と尾側を見分けることで、これによって魚の筋目にそって、つまり順目で削らないと、非常に削りにくく、粉々のかつお節が出来てしまう。向きは、尾側から頭側へ向けて、刃を当てて削ることになる。頭と尾は、

腹節は内臓を取ったくぼみのある方が頭、
背節は皮の残されている方が尾

と見分けるとわかりやすいかもしれない。あとは頭を尾を切り落とした切り口で見分ける方法もあるが、初めての人には、いずれにせよ非常に分かりづらい。ただし、あやまった方向に削ると、すぐに分かると思うので、分からなかったら、両側から少しだけ削ってみるのが手っ取り早い。そのうち慣れてくると、すぐに分かるようになってくる。

 また、かつお節の名産地である鹿児島県枕崎のものは、「本節のさつま型」といって、頭側が[45°]の角度で切られているので、それで頭側を知ることが出来るようだ。

その一 カビを取る

 表面に付着しているカビを、乾いたふきん、ペーパータオルなどで拭き取る。鰹節が濡れると品質が落ち、長期保存出来なくなるので、基本「濡れぶきん」は使用しない。(固すぎる場合に、軽く濡れ布巾をあてるなどのコツもあるようだが)使用期間が長いので、雑菌や手の脂が付かないように、手袋をした方が好ましいことは好ましいが……あまりシビアになる必要もない。とりあえずよく手を洗いましょう。

その二 削る向き

 削り器は刃が自分に向く。つまり上部が向こう側、下部が自分側に来るように置く。それでかつお節の頭側を自分に、尾側を向こう側に向ける。さらにかつお節の皮の付いている側、つまり魚の表面を上に、身の側を下に向ける。この状態で押しながら削ると、「尾側から頭側へ向かって刃が入る」ので順目に削ることが出来る。

 かつお節が小さくなってくると、削り器の向きを逆にして、引くようにして削った方がやりやすい。その場合は、当然尾側が自分の方へ、頭側が向こう側へ向けられる。

 削る角度は、斜め40~45°くらいが削りやすく、ほどよい長さの鰹節が出来るかと思われる。かつお節に削られる面が作られるまでは、はじめだけ刃を出し気味に下ほうが、早く面が作れる。面が出来るまでは、粉のようなかつお節だが、面が出来ると、ある程度の長さをもったかつお節が削れるようになる。

 ほどよいひらひらと長さのあるかつお節の状態を、
   花が立つ、花立ち、
などと表現する。うまく出来ないときは、まず削る方向と刃の出具合を確かめる。他のコツとしては、

・かつお節の面が左右にぶれると、平らな面が広く形成されず、きれいな花にならない。

・押すときに、きちんと向こう側まで行ききらずにもどってきたりすると、面が崩れる。

・ある程度のペースを保つと、発熱によって削りやすくなる。

・粉や丸くなってしまうのは刃が出過ぎ、かつお節にしわが寄るのは引っ込めすぎ。

・どうしても固かったら、ちょっとだけ削る面をあぶるとよいが、わずかにもろくなる。

かつお節の保管

 湿度の高くないところで常温保存。冷蔵庫では乾燥しすぎる。という意見もあるが、今日の家庭事情では、かえって冷蔵庫の方がよいという意見もある。いずれにせよ、虫も付くので、ラップした後、チャック付きのビニール袋に入れるなど、二重に遮断して、保管しておくのが好ましい。これには、におい移り対策も含まれる。(油分が悪影響なので新聞紙で包んだりはしない)

 温度が高すぎない、湿気が高すぎず低すぎないところが最適。春から夏にかけて、気温と湿度が高いときには、二週間に一度くらい、天日干ししてやるとよいようだ。

 使用後の、かつお節削り器は、刃は水分でさびるので、乾いたふきんやキッチンペーパーで、よくかつお節のカスを取ってやる。

小さくなったかつお節

 削れないほど小さくなったものは、鍋料理やスープ料理を作るときに一緒に煮込んで、そのまま食べてしまうのが手っ取り早い。大きすぎたら、金槌で叩き割ってから入れるとよい。