風待つほどのさくら花(自作曲)

大和物語へのオマージュ(自作曲)

 前回のは71段をパラフレーズしたものですが、こちらは原文の意図のまま現代風に改めただけのものです。どれほど素直でストレートな表現で、散文と和歌が成り立っているか。それがどれほど現代語と寄り添うものであるのか。

 つばくらめふたつなどと、着想とヘンテコな表現をもてあそんだ、一般人からしたら謎の表現をもてあそぶようなものではなく、ありきたりの語りのうちに、心情を宿しながら、詩としての風格を備えたものであるか。

 そんなあたりきの表現としての古文と和歌を、紹介したくてちょっと落書きしてみたまでのことです。

風待つほどのさくら花

作詞 大和物語作者
翻案作曲 時乃志憐

故式部卿の宮 なくなられた時は
 きさらぎの終わり みやこは
  さくらの花のひと盛り
 堤の中納言そっとささやく

咲きにおい
  風を待ちます さくらの花は
 その人よりも 咲き誇るよう

三条の右大臣も
  口ずさみます

また春が
  巡れば花は 咲き乱れても
 二度と会えない その人のこと