LinkStationからのXFSファイル救出

注意

 これは、わたしが場当たり的に試みた記録に過ぎず、有用な情報ではまったくありませんのであしからず。初めにわたしの症例から、結論だけ述べておけば、

 壊れた、buffalo の Linkstation から取り出したハードディスクから、XFSによるファイルシステムのデータを取り出す場合。Linuxからの救出や修復、TestDiscやWindowsからの救出ソフトが使用できなくても、
     「復旧天使」
   あるいは「Raise Data Recovery for XFS」
というソフトウェアから、救出出来る場合がある。ということだけ。それ以外に有用な情報は、下からは得られないし、解説を試みたものではありません。

壊れた Linkstation

 もう5年以上使用しているであろう、buffalo の Linkstation (LS-VL)へのアクセスが不調になったかと思うや否や、普段はブルーの輝きを誇る本体から、赤い警告ランプが点滅しだした。調べると、点滅の仕方でエラーを教えてくれるという、悲しくもありがたい設定であるようで、三回づつ点滅しているのは、[E30]つまりエラーコードの30番である、「ハードディスクの故障」を知らせているのだった。

 症状としては、フォルダを開くまでにかなりの時間が掛かること。開けずに接続が途切れるフォルダがあること。特にファイルの沢山含まれるフォルダを開くと、そのままフリーズすることが多いこと。

 アクセス自体はまだ可能であるので、優先度の高いデータから、ノートパソコンへとデータを救出していたところ、ついにNASへのアクセスが不能になった。そこで、何度も繰り返した事だが(あるいはそのために状態を悪化させたか?)、NASの電源を[OFF]にして、ふたたび電源を入れたところ、今まで繰り返していた、レッドシグナルが点滅しなくなり、ブルーライトがもどってきた。

 奇跡的に直ったものかと、欣喜雀躍しつつ、アクセスを試みるが、なんの返答も帰ってこない。管理ソフトである「NAS Navigator2」を開くと、どうしたことか、
    [EMモード]
なる不可解な状況へと陥ってしまった。

 フォームウェアアップデートで改善される可能性もある、という情報へたどり着き、試みるも、そもそもNASへのアクセスが不能で、アップデートなど思いもよらない状況。ずいぶん時間を無駄にしてから、ようやく
    「リンクステーションを解体して
       なかのハードディスクを取り出す」

という原始的な手段が存在するという。これをノートパソコンにUSB接続して、直接ハードディスクにアクセスして、データを取り出すことが可能かも知れない。接続のためケーブルを購入して、それに従うことにした。

XFS

 そもそもリンクステーションは Linux の OS を積んだ、一つの完結したシステムであり、Windowsで使用される[NTFS]とは異なるファイルシステムである、「XFS」を使用している(あくまで私の使用していたLS-VLについては)から、直に[HDD]をつないでもアクセスは出来ない。そこでかなりの無駄なリサーチを費やして、いくつかの試みを行ったが、それをまとめると、

・DVDブート出来るLinuxである[Knoppix]は、[XFS]を使用しているので、HDDをマウントして、データにアクセス出来れば、救出が可能である。しかし、マウント出来ずに、[Knoppix]から修復やチェックを行おうとすると、OSの方がフリーズしてしまう。念のために別のバージョンの[Knoppix]を使用してみたが、まったく同様の症状。[HDD]内部のデータの、何かに触れると、OSが落ちるような感覚。

・やはりDVDブートで起動できる[Ubuntu]の最新版も、[XFS]が利用できるので、アクセスを試みるも、マウントしようとすると、
    「構造体を消去してください」
のような、わたしにはさっぱり理解できないエラーが登場して、アクセス不能。「端末」と呼ばれるコマンドプロンプトを使用して、
    # sudo(管理者権限) xfs_repair -Lv(オプション) /dev/sdb3(該当デバイス)
による修復を試みるが、どうしたことか、果てしなく「……」が画面を埋め尽くすばかりで、どれほど待っても修復はなされなかった。

・ウィンドウズから使用できる、「TestDisc」というフリーソフトで、パーティションの修復を試みるもうまくいかず。パーティションは本来のものしか表示されず、しかも書き込みが出来ないようでお手上げ。

・ウィンドウズで[XFS]を救出できるソフトウェアがいくつかあるので、手当たり次第試してみると、
    [復旧天使]
という、ちょっと名称の怪しげなソフトウェアから、[HDD]の一部のフォルダを確認することが出来ることを発見。

さらに「復旧天使」の金額が高いので、リサーチを加え、
      「Raise Data Recovery for XFS」
というソフトウェアが、その母体(のひとつ)であることを発見する。意を決して、海外のソフトウェア支払い代行をしてくれる、
      「ワールドソフト」
から、4000円ちょっとで、そちらのソフトを購入。以下はそちらを使用しているが、「復旧天使」は日本語で、様々なファイルシステムに対応しているので、今後のことまで考えたら、あるいは「復旧天使」の方が良いかも知れない。(「Raise Data Recovery for XFS」は文字通り、「XFS」にしか対応していないので、たとえばウィンドウズで使用しているHDDを救済しようと思っても出来ないから)内容は同じなので、以下「復旧天使」のままで進行する。

・これらの試みの間、ハードディスクから、物理障害としか思えない、ガチャガチャした響きが絶え間なくしてくるので、本来なら一番初めにやらなければならないであろう、セクタ単位ですべてを別のハードディスクにコピーして、コピーしたデータから修復を行う、という行為を、ようやく実行する。しかしデータ量が多すぎて、終了するまでに36時間くらい掛かった。(後から分かったが、完了する前にアクセスが途切れてしまっていたらしい)

・[復旧天使]を使用して、移行したデータを元に、様々な復旧を試みるも失敗。初めから表示されているいくつかのファイルは、障害を起こしている元の[HDD]のものとは、異なっているという謎の症状。しかし、これをコピーしたところ、一部は救出出来た。ただ、「フォルダを検索」しても、限られたファイルしか表示されず、しかも新たに表示されたファイルは、コピーすると読み込めない。最後にまた、一日くらいを無駄にして、詳細スキャンを試みるも、終了したらなにも表示されないという結末に、しばしのあいだ茫然自失。

復旧天使

・そんな無駄をくり返しつつ、障害を起こしているもとの[HDD]からなら、フォルダを開くことの出来るファイルは、取り出せることを発見。
    「ともかくハードディスクのデータを移行せよ」
なる情報におどらされたのか、私の事象には合わなかったのか、なみだながらに、一部のデータを救出する。

・その後、「復旧天使」で障害[HDD]のパーティションの復旧や、詳細スキャンを行うも失敗。どうやら[HDD]へのアクセス中に、ウィンドウズから[HDD]の接続が切れてしまい、たとえばソフトウェアが新たなファイルを表示したとしても、もうそこへアクセスすることは出来ないし、そもそも、セーブ可能な状態で表示されることもない。といった、困った状況で時間を食いつぶす。

・ところが、フォルダを選択して右クリック、「フォルダを検索する」というコマンドを使用すると、今まで表示されなかったファイルが表示される事を発見。しかし、フォルダ内のファイルが多いと途中でフリーズして、「その後は、ハードディスクを引き抜いて、ソフトも終了させ、もう一度ハードディスクを接続して、ソフトを立ち上げる」 という原始的な方法でないと、ふたたび接続しないという状況。

・さらにさまざまな試みをするうちに、データの多いフォルダでも、「フォルダを検索」の途中で、うまくスキャンを中止させると、一部のファイルが表示されることを発見する。ただしこれはタイミングを外すと、中止をおしても進行が止まらなくなって、最後にフリーズする。

・ともかく「フォルダの検索」で表示させられる、フォルダ内のファイルの少ないデータから、順にアクセスして、救出を試みる。ただ、特定のフォルダにアクセスすると、検索をしながらフリーズしてしまい、アクセスせずにフォルダごとコピーを試みても、やはり接続が途切れてしまうので、「その後は、ハードディスクを引き抜いて、ソフトも終了させ、もう一度ハードディスクを接続して、ソフトを立ち上げる」 ということを繰り返さなければ、データが取り出せない状況と格闘する。

・ただし動画データなどは、ほとんどの場合、表示されさえすれば、救出が可能であるようだ。ただ、[NAS]が壊れた時と同様、一つのファイルをコピーするのに、通常の50倍から100倍くらいの時間が掛かる。ハードディスクへのアクセスが途切れ途切れに、進行しているようで、その間もハードディスクからガチャガチャ音がする。こんな状態でありながら、なんど接続を繰り返しても、症状は悪化しないという、悲しいなかにも、ひとつのよろこびを見いだしながら、優先順位の高いものから、救出を続けることにした。完全な人海戦術である。

・困ったのは[jpg]などの画像データで、まとめてコピーすると、データアクセスが出来ないファイルでフリーズしてしまう。一つづつコピーしていっても、やはりデータアクセスが出来ないファイルでフリーズして、また、「その後は、ハードディスクを引き抜いて、ソフトを終了させ、もう一度ハードディスクを接続して、ソフトを立ち上げる」という行為を繰り返さなければならなかった。しかも、すべてのファイルが、表示される訳もなく、表示されるフォルダを見つけては、特定のフォルダのデータを、どうにか救出することが出来た。

・あきらめずに、さらなる模索を続けると、ソフトの上部に表示されるファイルへのアドレスに直接打ち込むと、検索では表示されなくても、表示できるフォルダが存在することを発見する。記憶を頼りに、フォルダのアドレスを打ち込んで、直接ファイルのあるフォルダを開くと、かなりのファイルにたどり着くことが可能だった。

・それにしても、動画のコピー時間があまりにも膨大で、救出に二週間近くを要することになった。しかし、悪戦苦闘の甲斐あって、かなりのデータを救出することが出来た。おそらくデータ量で95%くらい、ただし、どうしてもアクセス出来ない、特定のフォルダが存在し、そこの下位フォルダには、アドレスを打ち込んでもアクセス出来なかった。これをどうやって救出するかが、最後の問題として残される。もっとも動画の中にも、二三個破損しているものがあった。

Ubuntu

 最後に、もう一度「Ubuntu」から、データへのアクセスが出来ないか試みる。マウントは出来ず、修復も無理で、パーティションのフォーマットすら出来ないが、別のパーティションで試したところ、パーティションを消去して未割り当て状態にすることだけは可能だった。ただし、未割り当てにしても、再度フォーマットすることは出来なかった。おそらく、ハードディスクが物理的に壊れかけながら、その状態で留まっているような症状かと思われるが、何の知識もないので、わたしにはなんとも結論は出ないのだった。

 さんざん調べ回っていると、今頃になって、[ddrescue]なら、エラーを飛ばしてセクタごとのパーティションコピーが可能であることを知り、最後の仕上げに実行してみる。当初[HDD]へのアクセスが不能だったものの、差し込んだ瞬間にコマンドを実行すると動作を開始した。ところが、速度は[65536B/s~131kB/s]を行き来して、1時間に[1GB]しかコピーできず。忘れた頃に速度を上げることもあるが、それも一瞬でもとにもどる。当初からエラーが6あったが、8時間後にいきなりエラーが4000以上、500MB以上になって、そこで「ディレクトリが見あたりません」と表示されてフリーズ気味に終了。試しに、続きから再度試みてみたが、初めからアクセス出来ずに終了。きわめて無駄な時間を費やすことになった。

 とはいえ、必要な大部分のデータは取り出せたので、さらに救出出来なかったデータのいくつかは、古いハードディスクにデータ復旧を掛けて、掘り出してみることにして、一連の徒労にけりを付ける。そうして得たものは、「バックアップは健康なうちに取っておけ」という、いにしへよりの格言に過ぎなかった。

使用したソフトウェアについて

TestDisk

 ファイル復旧ソフトではなく、パーティションの復元を行うソフト。ブートセクタのトラブルでファイルにたどり着けない場合などに有効。付録?としてついてくる、「PhotoRec」は、総当たりで拡張子単位で、データを見つけ出すソフト。ファイル名は保存されないものの、アクセス出来なくなったファイルに対して、強力なお宝発見能力を持つという。
    ⇒使い方は「こちら」などが参考になるかと

PhotoRec

 セクタを総当たりでスキャンして、拡張子を頼りにデータを復元するソフト。ファイルの名称が保持されないが、ハードディスクにデータが残されていれば救出出来るため、高い救出力を持つ。使用するときは、初めに救出したい拡張子を設定しておくのがよい。残念ながら、わたしの症例では、ハードディスクへのアクセス自体が途切れてしまい、半日を無駄にした挙げ句に、ひとつのファイルすら、表示されなかった。

Windowsのいくつかの救出ソフト

 割愛。いずれもアクセスが切断されるようで、なにも表示されず、なにも救出されず。よく知られたソフトも含まれるが、「復旧天使」(正しくは母体となった海外のソフトウェア)の際だった能力が思い知らされた。だって、これがなければ、ひとつも救出出来なかったのだから。

結論

 こうして11月後半から12月半ばまで、もっぱらデータの救出と、そのあいだの無駄な映像コンテンツの視聴とで、時間を無駄に費やしてしまった。結論はバックアップを取っておけということと、救出作業との格闘により、得られる知識もあるという、当たり前の事実に過ぎなかった。