雲の峰

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雲の峰 ―アイスミルクティーと麦焼酎の割りもの

 雲の峰
   いくつ崩れて
     夏の山

 幻住庵にアイスティーを焼酎割りにしてみた松尾芭蕉(1644-1694)が、酔いどれのなかに崩れゆく雲の峰を眺めたとき、いつしか山となるような錯覚から、しがないカクテールが生まれました。そんな夢さえ短く明けゆく頃の、アイスティーの麦焼酎割りです。(それにしても雲の峰がいくつも崩れに崩れたものが夏の山だなんて、現代人には思いも及ばないメルヘンですね)

 ホットドリンクと異なり、ウイスキー、ラムなどを加えると、嫌みが生じること。麦焼酎の甘みが、まるでわずかな砂糖を加えた時みたいに、紅茶の味わいを際立たせること。けれどもミルクは、紅茶とアルコールの親和性を、エマルションじみたやさしさに包み込んでくれること。これらはコーヒーの場合と変わらない。それらを総括して、きわめて単純な、夏のカクテールへと至らしめたものが、この「雲の峰」には他なりません。

 試して悪しきもの、取るに足らないもの
実は紅茶に関してはリサーチが不十分です。もしかしたら、わたしの知らない可能性があるかもしれません。

「雲の峰(くものみね)」のレシピ


 アイスティーは自分で作る場合は、一度濃いめでホットティーを作り、それを沢山の氷に投入し急速冷却。しかる後に薄くなりすぎないように溶けきれなかった氷を取り除くというのが、通常の作り方で、これをちまちま冷却すると、白濁することがあるようだ。もっともミルクを入れてしまうなら、白濁しても構わないので、薄くならないように自然に冷えるのを待ってから、冷蔵庫に入れてもよい気がする。


 わたし好みのノンシュガーで説明するが、砂糖やガムシロを加えても、あるいははじめから加糖のアイスティーを購入したものを使用しても構わない。味覚と趣味にゆだねるばかり。ただしミルクと紅茶の割合は、アイスティーの場合、ミルクは少なめの方が味わいがよいように思われたので……

③まずは
[アイスティー:牛乳]
の比率が、
[4:1]
さらに、
[ミルクティー:麦焼酎]
の比率が、
[2:1]
になるように混ぜ合わせる。たとえば一例として、
    無糖アイスティー 40ml
    牛乳 160ml
    麦焼酎 100ml
といった量になる。

 数式ではないので、比率はざっくばらんな目安であり、多少の加減は許容範囲であることを、そこはかとなく落書きするもいとおかし。


 あとはお好みで氷を加えてもよいし、加えなくてもよいが、シナモンスティックを一本添えて、これをもって雲の峰を、木立の立ち並ぶ山の峰に見立てることこそ、芭蕉の思い描いた風雅の道であると、あの日つい飲み過ぎて、幻住庵記などの執筆をはじめてしまった真実を……ただそれだけを今のわたしは、こうして記しておこうと思うよ。

リンク

ウィキペディア「松尾芭蕉」
………せいぜいこのリンクから、彼の輪郭を探るがいい。大和の詩人という概念を思うとき、彼こそ座右の銘のひとりには違いないのだから。ちなみに言う。一茶に引かれるもの、貴様は俗物である。

2014/04/18(金)

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