ビニール袋による梅干の作り方

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ビニール袋による梅干

 マンションなどで、少量の梅干しを漬ける場合は、ビニール袋を使用するのが便利。そうでなくても、10kgなど大量に漬けるのではなく、数キロ漬けるくらいなら、容器などを購入しなくて済むので、ビニール袋の方が手っ取り早いかも知れない。

梅干の作り方

梅干用の梅

 梅干用の梅は、南高梅(なんこうばい)、白加賀(しらかが)など。他に小梅用の甲州などがある。6月中旬から下旬、市場に出回ったら購入。黄色っぽくなった熟したものがよい。袋を見て、痛んでいないもの、熟しかたにムラのないもの。大きさのそろっているものを選ぶ。

 本当は、自然落下した完熟梅を使用するのが一番良い。つまりは、自宅で梅が採れるような環境の人だが、あるいはネットで検索すれば、そのような梅も購入できるかと思われる。

 青っぽい梅が多かったら、常温放置で1日2日追熟すると、黄色に色づいてくる。ただし、あまり置いておくと傷むだけなので、なるべく熟して傷んでいないものを、購入するのが望ましい。

漬ける前

 漬ける前に、水につけてあく抜きをする。これは追熟の意味があるとも、不純な味を取り除くもされ、その時間も、1時間から半日まで、さまざまな意見がある。おおよそ青っぽい梅の場合は、数時間で、完熟していたら必要ないともされる。購入した南高梅の袋には、水にはつけませんと、わざわざ書いてったこともあった。

 取りあえず洗って、2、3時間くらい水につけて、キッチンペーパーで拭いて、水気を取り除くという方針を掲げておく。その後、爪楊枝などを使用して、梅が幹に付いていたヘタの部分を取り除く。これもそのままで良いという意見もあるが、取り除かないと、そこからカビが生えやすいという意見に従っておく。

 その後、焼酎(ホワイトリカー)やアルコールをスプレーしたり、焼酎にくぐらせると、カビにくくなるという行程もあるが、絶対に必要な行程でもないようだ。もっとも大切なのは、漬ける前に、柔らかすぎるもの、痛みのあるものを、必ず取り除いておくことで、さらに斑点があるものも、よろしくない実なので、元気そうに見えても、取り除いてしまうのが望ましい。

ビニール漬にする

 大量に漬けるのでなければ、ビニール漬の方が簡単だし、管理もしやすいように思われる。特に500gくらいづつ、小分けにビニールに漬けておけば、コンディションが悪くなった場合でも、一袋始末するだけですむという利点もある。

・他の漬物もそうだが、ビニールで漬ける場合、重しで圧力を加える必要はない。圧力を加えた方が早く漬かるが、無い方がきれいな形で漬かるし、別に何の問題もないようだ。

 まず塩漬けにする。塩分は、昔は20~30%で、塩辛く漬けた保存食だが、近ごろは衛生管理と減塩指向を兼ね揃えて、以前ほど辛くは漬けないのが一般的。あまり減塩にするとカビが生えやすくなる事から、梅の重量の15%の塩を加えるのが、良いかと思われる。またネットで調べた限りでは、18%という意見も多かった。

・味覚的にも、これ以上減塩して、しょっぱ酸っぱい味わいを抑えない方が、美味しいかと思われる。また、蜂蜜やら砂糖などを加えるよりも、塩だけの方が、梅干らしい味わいが楽しめるし、梅自体に甘味が存在するのに、砂糖を加えてしまうと、本来の甘味がマスキングされて、まがいものじみた味に落ちぶれるようにも感じられる。

・それでも砂糖を加えたい人は、塩の重量の半分の重量の砂糖を加えると良いでしょう。

 そんな訳で、ビニール袋に梅を入れて、重量の15%の塩を入れて、よく揉んで、塩を全体にわたらせる。塩は漬物で奨励される、粗塩(あらしお)がよいが、もちろん絶対条件ではない。

・製塩でなく、粗塩を使った方が、にがりを含み、粒子が粗いので、梅に絡みやすいとか。はたしていかがか。

 そのまま、口を縛らないで、閉ざしたくらいでしばらく放置しておく。2、3時間たつと、結構水分が出て来るので、ある程度の水分が出て来たら、ビニール袋内の空気を抜きながら、ビニールの口を閉じる。縛ってしまってもよいし、強力なクリップを使用しても構わない。中の空気を追い出すのは、溜め水にビニール袋を入れながら空気を抜くと楽。

・空気を抜いた漬け汁状態でしばらく保存するが、はじめの二三日の間は、結構塩のたまりが出来てくるので、やさしくビニールを揉むようにして、塩ムラがないように、混ぜ合わせてしてやるとよい。

 保存は常温でよい。冷暗所が望ましいというが、ともかく暗所でじめじめしていないところで、時々状況を確認しながら保存する。室温が高くなっても、結構大丈夫だったりする。ビニール袋に小分けにしてあるので、駄目なものがあれば、それだけ破棄するのも楽。ちょっとしたカビは、早めに発見して、そのヶ所だけ取り除けば、問題はない。

紅干し、赤紫蘇を加える場合

 このまま、ビニールに入れて置いて、一月後に土用干ししたものを、「白干し(しらぼし)」「白梅干し」「関東干し」などと呼ぶ。それに対して、漬け始めてから一週間後くらいに、あらためて赤紫蘇を加えて、鮮やかな紅色にしてやるのも、おなじみの遣り方である。これは、「紅干し(べにぼし)」「赤干し(あかぼし)」とでも呼びそうなものだが、この名称は一般的ではないようだ。

 赤紫蘇は、ビニール袋に漬けてから、一週間後くらいに加える。赤紫蘇のなかでも、「ちりめん紫蘇」という品種が一番良いとされるが、あまりこだわり過ぎなくてもよい。

 赤紫蘇のあく抜きにも、さまざまな遣り方があるようだが、一例として、
    ⇒赤紫蘇を洗って、葉だけにして
    ⇒塩でよく揉み込んで、絞り
    ⇒出てきたどす黒い汁を捨てる
    ⇒もう一度、塩でよく揉み込んで絞り
    ⇒どす黒い汁を捨てる

・赤紫蘇は、目安として梅の重さの10%程度、つまり2kgの梅を漬けたら、200gくらいの赤紫蘇を使用。それを赤紫蘇の5%の塩で二回、つまり合わせて10%の塩を使用して、あく抜きをすれば良いでしょう。いずれ量は目安に過ぎません。

 こうしてあく抜きした赤紫蘇を、それぞれのビニールごとに、梅と混ぜ合わせるのだが、衛生を兼ねて、一度ビニール袋から取り出した梅と漬け汁を、赤紫蘇と混ぜ合わせながら、新しいビニールに移しかえるのが望ましい。

 こうして漬け終えた梅干は、一ヶ月くらい保存して、7月の終わりから8月のはじめ頃に、「土用干し」を行なって、はじめて梅干となる。

漬物器で作る場合

 少量漬けの場合、実際はビニール漬けよりも、ネジ式の漬物器を使用した方が、ずっとメンテナンスが楽になる。ビニールだと、どうしてもビニールが破けないように注意したり、空気を抜いて口を塞いだり、それをまた開封したりする作業が煩わしいが、漬物器の場合は、圧力の調整だけでしっかり空気を抜いて保存できるし、取り出すのも圧倒的に簡単だから。

 ただし容量の関係で、1kgくらいの少量を漬けるのに相応しい。大量に漬ける場合は、伝統的なやり方の方が相応しいのは、ビニール漬けと一緒である。もっとも、漬物器を数個使用して、それぞれの味を変更させるなどしても、面白いかも知れない。

 塩と梅を交互に入れるより、梅を塩にまぶし付けながら入れていくと良い。残った塩は上から振りかける。ある程度の圧力を加えておくと、翌日にはある程度、塩水が溜まっている。

 この塩水を、全体に絡ませるように振りながら、梅がしぼんで緩くなった分、圧力を加えると、数日で梅全体が浸かるようになる。まだ塩が下に溜まっていたら、日ごとに振って溶かしてやると良い。

 後はこのまま保存して、赤しそを途中で加えるのも、ビニールよりずっと楽だし、土用干しをするために取り出すのも、ビニールより煩わしくないので、ビニールでも気楽に作れるが、毎年作りたいなら、漬物器を購入してしまった方が手っ取り早い。

土用干し(どようぼし)

 土用干しは、漬けてから一ヶ月くらいで行なうが、別にもっと過ぎてしまっても問題ないので、天気予報で晴天が続きそうな、安定した天候に合わせて行なう。比較的晴天の続く、八月前半頃が良いかも。

 ビニール袋から、梅だけを取り出し、重ならないようにザルに並べて、三日間天日干しにする。干し方も諸説あるが、天候が変わりやすいこの頃でもあるので、一日一回や、一日ごとに裏返して干すよりも、太陽光線を浴びせながら、数時間ごとに裏返しながら干して、雲行きが怪しくなったら取り込むのが良いかも知れない。また夜になったら、室内や屋根のあるところに取り込むのがおすすめ。

・塩漬けにしておいた、梅から出た液体の方は、梅酢(うめず)として料理に利用できるので、ペットボトルやビンなどに入れてストック。

・干し方についても、干す前に水で洗うとか、初日は一度梅酢に戻すとか、様々な方法が存在するが、あまり細かいことは気にしないで、ざっくばらんに干すところからはじめてみよう。

 三日間干すのが基本だが、場合によっては一日数時間を、何日か繰り返すのでも可能。また午前や午後しか、日が当たらない環境でも、三日間干せばそれらしくなってくる。

・曇りや雨で干せない日が出来てしまったら、そのまま室内に置くか、一度梅酢に戻しておいて、また晴れる日を待つ。特に何日も干せない日が続くことになるなら、梅酢に戻して、仕切り直した方がよい。曇りの日は、表面がべたつくようになってしまうので、あまり干さない方が良いともいわれる。

・また、梅酢から出さないで、ビンのまま干すという遣り方も存在する。そのまま、梅酢と共に保存しておいて、普通の梅干とはまた違った味わいを楽しめるようだ。

 赤紫蘇を入れた梅干の場合は、赤紫蘇も絞って、なるべくばらすように広げて、一緒に干しておく。これは、ある程度乾燥したら、レンジでチンして完全に乾燥させてから、すり鉢ですり潰して、「ゆかり」にするのがおすすめ。

保存と消費

 取り込んだ梅は、そのまま保存でもよいが、一度梅酢にくぐらせてから、密封容器に入れておくと良いようだ。すぐ食べても構わないが、しばらく保存してからの方が、ずっと味が良くなってくる。三ヶ月くらいしてから、食べ始めるくらいだが、味わいは一年くらい保存した方が、美味しく感じられた。

梅干なリンク

梅干し
ウィキペディアの「梅干し」について
「梅のある生活」
 『梅の月向農園』の、さまざまな梅レシピ。
「四畳半で梅干しを作る」
 「四畳半の住人」というサイトの「梅干の作り方」のコンテンツ。あるいはこれがメインコンテンツか。ヒットするサイトは大量にあるが、自分で実験していないような落書きは掲載に値せず。
「梅干しの作り方」
 「ヤマポン総合研究所」というサイトの「梅干しの作り方」のコンテンツ。ビニール袋でなく、本格的に漬けたい人は、上かこちらのサイトを参照。

2017/01/05
2017/07/23 漬物器追加

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