・ヒスタミンなどの科学伝達物質が肥満細胞から放出されるのを抑制する。薬の安定した効果を得るためには、数日から数週間飲み続けることが必要。この作用のみを引き起こし、抗ヒスタミン作用のない薬剤は、一般に抗アレルギー薬、または酸性抗アレルギー薬と呼ばれる。発症予防薬・軽減薬の位置付けで、発症後は抗ヒスタミン薬などを合わせて使用することも多い。
[代表例(商品名)]
・アンレキサノクス(ソルファ)、イブジラスト、クロモグリク酸ナトリウム(インタール)、タザノラスト、トラニラスト(リザベン)、ペミロラストカリウム(アレギサール、ペミラストン)、レピリナントなど
・神経や組織のH1受容体に結合してしまい、放出されるヒスタミンがこれらに結合するのを妨げる。(ヒスタミンH1受容体拮抗作用)また受容体の活性を落とす。一般に抗ヒスタミン薬と呼ばれる。
・そのうち、抗ヒスタミン作用だけを中心とするものを第一世代抗ヒスタミン薬という。眠気やだるさなどの副作用が強いが、即効性が期待できる。薬は効くが、花粉の増加と共により体調が悪くなるように感じるのは、自分だけだろうか。これは市販薬の大部分を占める。(しかし、市販薬には血管収縮剤など他の成分も含まれることも多いので、抗ヒスタミン作用成分だけで選択するのではなく、成分表示を確認する必要がある。)
[代表例]
フマル酸クレマスチン(タベジール)
マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン)
マレイン酸カルビノキサミン(シベロン)
シプロヘプタジン(ペリアクチン)
ヒベンズ酸プロメタジン(ピレチア)
ジフェンヒドラミン塩酸塩(ベナ)
などなど、市販花粉症の薬の大部分の公ヒスタミン成分
・そのうちケミカルメディエーター遊離抑制の効果を併せ持つものを、第二世代抗ヒスタミン薬、あるいは塩基性系抗アレルギー薬という。これは抗アレルギー薬の効果を持つが、こちらの効果を得るためには、数日から数週間飲み続けることが必要。(2週間ぐらいが自己判断の目安か?)抗ヒスタミン作用も併せ持ち、病院処方薬の主要薬となっている。抗アレルギー薬として処方される場合でも、ケミカルメディエーター遊離抑制作用だけの薬よりは、第二世代処方の方が一般的。眠気やだるさは第一世代よりは大分改善されているが、まったく無いわけではない。(もちろん個人差も大きい。)
[代表例(商品名)]
フマル酸ケトチフェン(ザジテン)
オキサトミド(セルテクト)
メキタジン(ゼスラン、ニポラジン)
フマル酸エメダスチン(ダレン、レミカット)
塩酸アゼラスチン(アゼスラン、アゼプチン)
塩酸エピナスチン(アレジオン)
エバスチン(エバステル)
塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)
テルフェナジン(トリルダン)
アステミゾール(ヒスマナール)
ベシル酸ベポタスチン(タリオン)
塩酸セチリジン(ジルテック)
塩酸オロパタジン(アロレック)
ロラタジン(クラリチン)
リボスチン(塩酸レボカバスチン)
クラリチン(ロラタジン)
・トロンボキサン阻害剤(トロンボキサンA2受容体拮抗剤)
・ロイコトリエン拮抗薬(ロイコトルエン拮抗剤)(鼻閉への効果)
・Th2サイトカイン阻害薬
→トシル酸スプラタストを成分とするアイピーディーという商品がそれにあたる。アトピー性皮膚炎、気管支喘息などでも使用される薬。
・アドレナリンのように交感神経に作用し、特にその血管収縮作用に着目して作られた薬。即効性(10分から15分ぐらいで効き目が現れる)があるため、市販の点鼻スプレー、点眼薬に多く含まれる。特に血管を収縮させて炎症を抑えるため、目の充血や鼻詰まりなどに効果を発揮する。抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬では鼻づまりの改善が弱いこともあって、市販薬にかなりの頻度で使用される。
・しかし続けて使用すると、効果の持続時間が短くなり、依存度が高まる。同時に次第に粘膜が変質して、薬を使用していない場合の鼻づまりが酷くなったりする。そのような訳で、緊急時以外、常用は避けたい。(ただし、どの程度の量をどの程度の期間使用するといけないのか、実際は花粉症のシーズンのみの使用ならある程度は大丈夫なのか、詳細は私にはまったく分からない。)
・もとはマオウ (麻黄)から採取されるエフェドリンに、アドレナリンのような交感神経興奮作用があり、末梢血管収縮や動悸、気管支拡張などの効果があるところから、この薬の歴史は始まっているようだ。
・市販の内服剤(風邪薬・鼻炎薬)にもしばしば血管収縮成分が混入する。この場合全身の末梢血管を収縮させることになる。例えば血管収縮剤である塩酸フェニルプロパノールアミンは、脳出血等の副作用の可能性があり、代替の塩酸プソイドエフェドリン(パブロン鼻炎カプセルなどの主成分)も、皆無とは言えないなど、あまり関わりたくない話もネット上に流れている。
→この場合、例えばアルガードなら塩酸プソイドエフェドリン入りのソフトカプセルではなく、抗炎症剤入りのアルガードシールド内服薬(抗炎症剤としてグリチルリチン酸ジカリウム入り)(第二世代抗ヒスタミン薬メキタジン入り)を購入する、コンタックならやはりエンサンプソイドエフェドリン入りの600プラスではなく、コンタック600ST(消炎酵素剤としてブロメライン入り)(多くの市販薬に入っている第一世代抗ヒスタミン薬マレイン酸クロルフェニラミン入り)を購入する。またパブロンでは、第2世代のパブロンZ(下参照)を購入するなどと、成分を確認して使用薬を変更するとよいかもしれない。ただし、血管収縮成分のもたらす劇的なその場の改善作用には到らないかもしれないが、リスクと効果で天秤棒でも釣り下げてみたらよいでしょう。
・血管収縮成分入りの点鼻スプレーは、その効果の高さから、やむを得ない特定の時に使用すべき薬である。一方効き目の高い点鼻をある程度継続的に使用したい場合は、医師の処方によるステロイド点鼻薬などを使用した方が、より安全度は高い。もちろん抗ヒスタミン、抗アレルギー点鼻薬のみのものを選んでの使用で改善すれば、それに越したことはないのである。
[幾つかの例]
塩酸テトリゾリン・プレドニゾロン
塩酸トラマゾリン
塩酸ナファゾリン
塩酸プソイドエフェドリン
テトリゾリン
[リスクについて]
「アレルギー性鼻炎と市販鼻スプレー(点鼻薬)の功罪」
アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害することによって、副交感神経が抑制される。
発症してしまった炎症を抑えるもの。好く見かける[塩化リゾチーム]もこの一種。これは卵白から抽出(だから卵アレルギーの人は摂取してはいけない)された酵素製剤で、抗炎症作用や出血抑制作用などがある。グリチルリチン酸ジカリウムなどもこの範疇。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)は、ほとんどの生物が自ら体内で作りだし、免疫作用を弱める、炎症を抑えるなどの作用を持つ。そのためアトピー性皮膚炎や、花粉症に対しても絶大な効果を持つが、体内に重大な副作用をもたらす可能性のある薬でもある。外用薬では長期使用による皮膚炎など、内服では躁状態とか、感染症にかかりやすくなるとか、更年期障害の重症化とか骨粗鬆症とか、詳しくは検索してみて下さい。
ただし、スギ花粉症は季節限定であるため、使用方法を間違わなければ、非常に症状を改善させる良薬ともなる。
[安全性の高いもの]
・良い医師の処方に従った上での局所使用。点鼻スプレーとか、目薬とか。即効性は血管収縮剤に劣り、2日から1週間程度かかるが、効果は抜群で、局所使用であれば、副作用の心配も少なくて済む。
[例]
フルナーゼ点鼻液
[正しい処方により悪化した症状を抑えるもの]
・良い医師の処方に従った上でのステロイド内服薬(セレスタミンなど)の使用。医者の説明を外れた使用方法は特に避けたい。(セレスタミンは抗ヒスタミン剤であるマレイン酸クロルフェニラミンと、副腎皮質ホルモンのベタメタゾンを配合したもの。長期使用は要注意。ネットを徘徊すべし。)
[奨励されない、リスクが高いもの]
・悪い医師の処方による安易なステロイド注射。(もちろん熟知した上でリスクと秤にかけた場合は自己責任を全うするのみ。)これは注射一本で花粉症がへっちゃらという危険療法。ただでさえ副作用の怖い副腎皮質ステロイド(副腎皮質ホルモン)を、筋肉に注射して徐々に溶け出させるため、数週間から1ヶ月に渡って免疫作用が抑制され、症状が出なくなる。
・つまり短期服用、局所服用が志されている薬を、無頓着に体に垂れ流すというすばらしい遣り口で、自分は花粉の時期でも健康だと思いこんでいる内に、体を駄目にしていく恐れがある。
・さらにステロイドによって体内免疫作用のバランスが崩され、体調不良や倦怠を覚えても、注射されたお薬が無くなるまで、事実上服用を中止することが出来ない。
抗原(スギ花粉)を定期的に注射(花粉エキス)などで直接体内に取り込んでいくと、抗原に対するIgG抗体というものが出来てくる。これが十分蓄積されると、スギ花粉が侵入してきた時に、肥満細胞上のIgE抗体ではなく、IgG抗体と結びつき、発症が抑制される。また肥満細胞の活性が落ちる。など考えられているが、不明な部分も多いようだ。直接抗原を注射するので、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性もある。これもI型アレルギー反応で、過剰な免疫反応によって血小板凝固因子が放出され、毛細血管の拡張を引き起こすため、ショック状態にいたるのだ。そのため医師の管理の元、病院に通院して治療を続ける必要がある。
通院期間も軌道に乗るまで数ヶ月から半年はこまめに通い、その後も数年定期的に注射を打つ必要がある。有効率は60-80%とかなり高いが、その後完治する確率は必ずしも高くはない。
大部分の市販の花粉症の薬は、第1世代抗ヒスタミン剤を中心に、血管収縮剤や、分泌抑制剤など、様々な即効性効果のある薬剤を成分として加えたものである。30分から数時間で薬の効果が表れ、同時に人によっては倦怠や眠気を強くもよおす。
点眼薬、点鼻薬は血管収縮剤の入っているものが多々あるが、連用すると効果が悪くなって依存度が高まり、リバウンドが起こって悪化するというような悪循環もあり得るので、入っていないものを使用したい。抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を成分に配合し、血管収縮剤の無いものを探すとよい。継続的使用によって、効果を発揮する第二世代抗ヒスタミン剤の市販薬も最近登場し始めたが、発症前からきちんと使用していると、かなりの効果を発揮する。しかし、症状が現れた時に慌てて使用しても、十分な効果は得られない。
2009年度現在、幾つかの商品が市販されている。病院用の処方薬から市販薬(OTC、オーバー・ザ・カウンター)として認められた(スイッチOTC薬)は、第二世代抗ヒスタミン剤のうち、十分に実績を持つもの(安全性の認められたもの)に限られるため、最新の薬などは販売されない。これらの薬は抗アレルギー作用があるため、予防的に飲み始めて、しかも継続的に使用すると、非常に効果的だ。個人的な使用感想では、第1世代よりも、薬自体のもたらす眠気やだるさも少なく、しかも花粉に対する症状が一日中むら無く改善される。症状がきつい時でも、重症化せずに立ち直れる。ただし、抗アレルギー作用は飲んですぐ効くものでないため、即効性を期待すると抗ヒスタミン作用の効果しか得られないことになる。ただし、発症後でも継続使用していけば、やがてケミカルメディエーター遊離抑制効果などは表れてくるので、発症後には意味がないということはない。
メーカーでは同時使用を避けたいとしているが、私の個人使用では内服に鼻炎薬、点眼薬を同時使用しても、眠さが強調されるといったことはなかった。
抗ヒスタミン作用を持つので、こちらの作用はその場で服用しても、比較的即効性を持つ。ただし抗ヒスタミン薬を中心に、複合成分で即時の改善を成し遂げる多くの市販薬ほど強力ではない。代わりに眠気などの副作用が少ない。
下のうち、フマル酸ケトチフェンはけっこう眠気を感じる人が多い。またハイガード(→現在スカイナーAL錠)などは眠気が比較的弱いようだが、いずれも人によって結構眠気を感じる場合がある。
[商品例]
ザジテンAL鼻炎カプセル(フマル酸ケトチフェン)
ザジテンAL鼻炎スプレー(フマル酸ケトチフェン)
ザジテンAL点眼薬(フマル酸ケトチフェン)
パブロン鼻炎カプセルZ(フマル酸ケトチフェン)
パブロン点鼻Z(フマル酸ケトチフェン)
ミタヤク点鼻薬(クロモグリク酸ナトリウム)(売ってる?)
ハイガード→現在スカイナーAL錠(塩酸アゼラスチン)
銀のアルガード(フマル酸エメダスチン)
→[2009年1月発売]
→若干、塩酸アゼラスチンより中程度快復率が高い
→[おまけ。鼻炎スプレーの方は、血管収縮剤ナファゾリン塩酸塩が入っている。]
[詳しくはこちらをどうぞ]
→市販薬の選び方飲み方
[ルキノン鼻炎カプセルLP]
塩酸プソイドエフェドリン 120mg
(血管収縮作用、充血・鼻づまりを抑制)
マイレン酸クロルフェニラミン 8mg
(第一世代抗ヒスタミン薬)
ベラドンナ総アルカロイド 0.4mg
(副交感神経抑制作用,鼻水など抑制)
グリチルリチン酸 45mg
(抗炎症作用、ステロイドより緩だが類似)
無水カフェイン 100mg
(覚醒作用があるが、ここでは頭痛など鎮痛補助)
その他
[プレコール持続性鼻炎カプセルL]
塩酸プソイドエフェドリン 120mg
マイレン酸クロルフェニラミン 8mg
ベラドンナ総アルカロイド 0.4mg
グリチルリチン酸 45mg
無水カフェイン 100mg
その他
[パブロン鼻炎カプセルS]
塩酸プソイドエフェドリン 120mg
マイレン酸カルビノキサミン 12mg
(第一世代抗ヒスタミン薬)
ベラドンナ総アルカロイド 0.4mg
リゾチーム硫酸塩 30mg(力値)
(抗炎症作用)
無水カフェイン 100mg
その他
2008/03/14-