朝鮮半島では「チゲ」とはさまざまな煮込み鍋の総称に過ぎず、「チゲ鍋」というネーミングは、さながら「鍋の鍋」と提唱しているようなものですが、それはさておき、ここではコチュジャンベースの辛味噌キムチ鍋を、豚バラ風味の定番料理として、大和のレシピに加えようと思うのでした。
コンテンツが長々しいので、はじめにまとめておきましょう。十分に濃厚なダシがカップ1(200cc)に対して、コチュジャン大さじ1、味噌大さじ1、ミリン大さじ1、これに唐辛子を加えるだけでチゲダレになるし、キムチを混ぜ合わせれば、キムチチゲのタレにもなるくらいのものです。(ただし白菜キムチを使用するかわりに、ただの白菜などを入れるとちょっと薄くなるので、あとは塩で調整)風味を付けるなら、ニンニクとショウガを使用。また隠し味で、しょう油と砂糖をちょっとづつ加えるとよりおいしいというもの。
辛さが調味料と出汁の濃さを要求するので、十分なだし汁が必要になる。そこでまずはダシ汁の例をいくつか。味噌ベースなので煮干しとの相性がよいが、カツオもおいしくいただける。
①
水4カップに、ダシ昆布を投入して一時間以上放置する。
②
煮干しは頭とはらわたを取り除く。
③
一時間以上たったら、煮干しを加えて弱火で加熱。
④
10分以上かけて60度にするくらいの火力で、65度くらいを目安に火を止めて、キッチンペーパーやふきんでダシを濾して完成。(なんでか知らんが、加熱しながら味を確かめていくと、このくらいの温度がうまみが抽出され、苦みや変な味が混入してこないので、勝手におすすめいたす。)
①
水4カップに、ダシ昆布を投入して一時間以上放置する。
②
一時間以上たったら、水のままかつお節を加えて点火。弱火で加熱。
④
10分以上かけて60度にするくらいの火力で、65度くらいを目安に火を止めて、キッチンペーパーやふきんでダシを濾して完成。
・基本は、だし汁カップ1(200cc)に対して、コチュジャンと味噌と味醂がそれぞれ大さじ1、白菜キムチが100gくらい。これが土台となるので、後は少々いじっても、それほど味のぶれはない。具材で味が薄く感じられたら、後は塩で調整する。
①
フライパンに、ゴマ油大さじ2を敷き、そこにみじん切りしたニンニク5g、ショウガ10gを投入して、弱めの火力で、しだいにシュワシュワさせて、しばらく香りを移す。
②
細めにスライスしたタマネギ1個分、またはもやし一袋くらいを投入。お好みで、輪切りやみじん切りにした唐辛子を適量投入して、弱めの火力でしばらく炒める。
③
野菜に火が通ったら、白菜キムチをタレごと投入して、混ぜ炒める。
キムチと豚肉を一緒に炒めるとおいしいというコツもあるが、豚肉をやわらかくいただきたいなら、ここではまだ加えない。
④
(お好みでバターと)酒を投入し、アルコールが飛んだら、作っておいたダシ汁カップ3(600cc)の入った鍋に移す。
⑤
コチュジャン、味噌、ミリン、しょう油、砂糖はあらかじめ混ぜ合わせて置いたものを投入。濾してやると、味噌のカスなどが取り除かれるのでよりよい。またお好みで、牛乳、ヨーグルトを少々加えると色彩と味わいがマイルドになる。
⑥
以上でキムチチゲのベースの完成。後は海鮮チゲにするなり、スンドゥブチゲにするなり、お好みの具材で色づけしていけばよいが、ここではオーソドックスな豚バラキムチチゲと、スンドゥブチゲの作り方を以下に掲載しておく。
豚バラをメインにしたキムチチゲ。白菜はキムチで使用しているので、色彩と食材のバランスを考えて、適当にあしらえばよい。ただしニラとネギは個人的には加えたい。
①
先ほど完成した、キムチチゲのベースに並べて、加熱していただくだけ。もちろん、長ネギは早めに、ニラは最後に入れるなど、火の通りやすさを考える。豚バラはまだ入れない。
②
豚バラ肉は、スライスのもの、個人的におすすめなのは、しゃぶしゃぶようの薄い肉。他の具材に火が通る頃にあわせて、5分間50度のお湯につけておくと、アクが抜けて、おいしい豚バラをいただける。簡単なのはお風呂のシャワーや給湯器の温度調整を利用して、だいたい50度のお湯を、鍋に入れた豚肉にたっぷり与えてやること。はじめ肉の温度が低いので、いったん貯めて、お湯を流して、また貯めてなどするとよい。アクが沢山出る場合も、何度かお湯を替えて、洗い流す感じで。
そっだなことして、うまみさ抜けちまうでねーだか。と騒がなくても、そんな簡単にお肉のうまみは抜けません。
③
野菜類に火が通ったら、最後にキムチチゲに、この豚バラ肉を加えて、肉のピンク色が全体に抜けたら、すぐさま火を止めて完成させると、非常にやわらかくて、おいしいお肉がたのしめます。
④
これをそのままいただいてもおいしいが、溶き卵を取り分けたタレに、少しずつ加えてはいただくのが、非常においしいのでおすすめ。
スンドゥブとは、韓国のおぼろ豆腐のような柔らかい豆腐だが、ここでは普通におぼろ豆腐か、絹豆腐で作ってしまおう。スンドゥブチゲにはアサリなどの貝類を加えることが一般らしいので、ここでも貝類をベースにした鍋料理として紹介しておく。
といっても、くどくど記すほどの事はありません。先の「豚バラキムチチゲ」の豚バラのかわりに、貝類(アサリ、シジミ、ハマグリなど)と、たっぷりの豆腐(おぼろ豆腐、絹ごし豆腐など)を、最後に加えて、貝類の口が開いたら完成。貝類は50度に通す必要はありませんが、砂抜きはした方がよいかもしれません。また、豆腐の入る分、具材は厳選して減らしてもよいでしょう。
2014/02/11 改訂版掲載
2016/02/05 また改訂してみたり